あれから、おそらく三日たった。
今のところ、俺が『変化』と認識するような出来事は起こっていない。

あれから、公衆電話も現れていないし
飯だって、時間がくれば勝手に出されている。

ヤツラは、一日に必ず一度『変化』が起きると言っていた。

俺が気づいていないだけか、それとも可能性は低いが
まだ『変化』が起きていないのか・・・

今日という日が来て、およそ8時間・・・
今だに俺の日常に『変化』は無い。

部屋の隅に座り、部屋の全体を見渡しているだけだ。

一体いつになったら変化が訪れるのか。

とりあえず、朝飯だ。
腹に何か入れてから、これからのことを考えるとしよう。

いつもの様に、後ろを向く。
時間は9時、13時、19時ピッタリ。
だが、俺がドアを見つめていると飯は出てこない。
一度でも、目を離すと飯が置いてある。

今まで何度か、どうやって飯を置いているのか調べようとした。
だが、俺がドアを見つめていると一時間経とうが、二時間経とうが
飯は出てこなかった。

逆に俺が一秒・・・ いや、もっと短かったかもしれない。
ほんの一瞬。ほんの一瞬だけ目を離すと、飯が置いてあった。

公衆電話のときも、そうだったが・・・
ここでは俺の知っている常識がまったく通用しないらしい。

一秒・・・・・・ 二秒・・・・・・待ってから、ドアの方を振り向く。

予定通り飯が置いてある。
だが、予定外の物もそこには置いてあった。

どうやら、これが今日の『変化』らしい・・・
 

血染めのカッター・・・

まったく嫌になる。飯時に、こんな『変化』は・・・
とりあえず、調べてみるか。

これは一体誰の血なんだ?
ヤツラの血というわけでは、無いだろう。
とすると、俺?なわけないか。

ともかく、これを使って何らかのアクションを起こさなければ
俺にペナルティが与えられる。

これを使って一体何をすればいいのだろうか?

まず、俺の頭に思い浮かんだのは。
『自殺』または『他殺』・・・

俺が死ぬと言うのは、まずありえないな。
もし、そうだったら。俺がここにいる意味が無い。

その時だった。

自分のすぐ後ろで、カサカサと何かが蠢く様な音が聞こえてきたのは・・・


          



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