壁の音・・・

まず、始めに。

これからお話することは、私自身が体験した事実です。
ですが、私はこれといって普通に幽霊が見えるというわけでもなく
他の人よりも霊感があるというわけでもございません。
もしかしたら、寝ぼけて勘違いをしただけかもしれません。

しかし寝ぼけていたわりには、はっきりと覚えています。

あれは一体なんだったのか?
本当に夢だったのだろうか?
いまだに、はっきりとしません。

しかしながら

私ネタがあまりありませんので、お話させていただきます。

おそらく事実であろうという感じで、聞いていただければ幸いです。



この話は私が中学生のときの話です。

今まで借家に住んでいた我が家族ですが、思い切って引越しをする
ことにいたしました。
引越し先の家は、前の家と違い広くて庭もあって近くに
空き地もある。
とても、住みやすそうなところでした。

そして、引越しをしてから何ヶ月かがたった時・・・
最初は、何にもなかった家に畑を作り、物置を作り、父の仕事場も
作ったりとだいぶ家らしくなってきました。

そんな中で、今回の事件がおきました。

ある日の夜中、一時か二時ぐらいだったと思います。

宿題も終わり、やっていたゲームにも飽きてそろそろ眠ろうかと
思っていたときです。
電気を消し、いざ眠ろうと目を閉じると・・・

コン・・・コン・・・コン・・・

と、ベッドの横の壁をノックする音が聞こえてきました。
その時、外は雨が降っていて風も強かったので外に置いてあった
バケツか何かがぶつかって音が鳴っているんだろう。
と思っていました。

しばらく、目をつぶっていると疲れていたこともあってか
すぐに眠ってしまいました。

次の日の朝、起きたらすぐに窓からノックされた壁の外を見ました。
そしたら、案の定バケツとジョウロとかが転がっていました。
やっぱりか・・・ と心の中で思い、学校に出かけていきました。

その日も、雨でした。

しばらく、天気が悪い日が続いた。
雨降るときもあったし、風だけが強い日もあった。
そして、ノックの音も途絶えることもなかった・・・

それが確か一ヶ月くらい続いたと思う。

一週間ぐらいたってからは、ノックの音は自分にとって何でもない
普通のことになっていた。
音を気にして眠れなくなることも無くなり、まして恐怖を感じることも無くなった。

それぐらい、自分にとっては普通のことになってきたのだった。

それから、何日くらいたったのか覚えていないがある日プッツリと
ノックの音が途絶えてしまった。

はっきりとは覚えていない・・・

そのまま、すべてが終わると思っていた。
そんな時、ある夢を見た。
なんでもない、普通の夢だった。
おそらく、誰でも見たことがあると思う。

怖い夢だった。

夢の中で私は、ベッドで寝ていた。だが、感覚が変だ。
知っている感覚だが、絶対に知ることの無い感覚・・・

そうか・・・ 私は今、上から自分を見下ろしてるんだ・・・

そのまま、視点が回転する。
そして、いつもの自分の視点に帰ってくる。
どうやら、金縛りにあっているらしい。
ある一箇所以外はピクリともしない。

たった一箇所、目以外は・・・

周りを見渡してみる。暗い・・・
どうやら、朝か夜、少なくとも昼ではないらしい・・・

まだ、目が暗闇に慣れていないのかほとんど見えなかった。
普段は豆電球をつけて寝ているのに、それも消えていた。

当たり前か・・・ だって、夢だもの・・・

何もやることが無いので、天井を見上げていた。
普段の夢なら、自分で行動を起こすことなんてできないはず
なのに・・・
私は、自分の意志で天井を見上げていた。

そして、ナニカをみつけた。

まだ、目が慣れていないのではっきりとは見えないが天井に
くっついてナニカがうごめいている。
最初は、暗闇が動いているかと思ったが違う・・・

ナニカがいる・・・

だんだんと、目が慣れてきた。思ったより小さい、いや丸まっているから小さく見えているだけだ・・・
グルグル、その場を回っているように見える・・・

見てはダメだ。と思っても、目をつぶることができない。
まぶたまで、金縛りにあっているようだ。

そして、はっきり見えるようになった。

アレは人だった。いや、ヒトのように見える。

グルグル、グルグル、回っている。

どのくらいたったのだろうか、十分?二十分?
いや、おそらく十秒もたっていなかっただろう・・・

ソレをいきなり止まった。
そして、こっちを見た。

妙な光景だった。

ソレの体は天井に張り付いているのに、頭はこっちを向いていた。
普通なら、逆になっているはずになっているはずなのに・・・

ソレはにやりと笑ったような気がした。

そして、そのまま私の方へ・・・

落ちてきた・・・

そこで、目がさめた。

今日も雨だった・・・



あの嫌な夢から数日、また天気が悪くなってきた。
いつからか、分からないがまたノックの音が聞こえてきた。

でも、怖くは無かった。また、何かが壁にあたって音が鳴って
いるんだろうと思っていた。

その日も、ノックの音が聞こえていた。
久しぶりなので、しばらく眠れない日々が続いていた。
うるさいなぁと思って、耳を澄ましていた。

雨はおろか、風の音さえ聞こえはしなかった・・・

ただ、ノックの音が響いていた・・・

それに気づいたとき、すでに恐怖を感じていた。


最初は、何かの間違いだと思った。

だって、そうでしょ?
少しの風も吹いていないのに、音が鳴るなんて・・・

他にも、いろんな可能性を考えたよ。
例えば、犬が外を荒らしているとか。
だけど、ソレは違うね。

だって、ノックは一定のリズムで鳴り続けているんだもの・・・

それに気づいた時、今まで考えた可能性のほとんどが無くなった。

でも、ノックは鳴り続けている・・・

その日は、その事を考えてしまっているうちに
眠ってしまったらしい。

気づいたときには、音は消えてしまっていた・・・

外を見た。

もちろん、外は晴れだった。


その日の夜、またあの音が聞こえてきた・・・

その状態がおそらく一週間か二週間ぐらい続いたと思う。

はっきりとは覚えていない。

だけど、これだけは覚えている。

モウ ゲンカイダッタ・・・

その異常な日々を何日も過ごしていたせいか・・・
少し、頭のねじが緩んでいたのかもしれない。

今、思えばソコで

ヤメテ オケバ ヨカッタ

俺は、振り上げた拳で思いっきりノックの音のする壁を

殴った・・・























すると・・・

音が止まった。

一秒・・・二秒・・・

目を閉じてゆっくりと時間を数えた・・・

やった・・・ おわった・・・ やっとおわっ・・・





コン・・・・・・・・・


!!

その音はナニカを確かめるように一度だけ鳴った・・・

そして・・・

  コン・・・コン・・・
  コン・・・コン・・・
  コン・・・コン・・・
  コン・・・コン・・・
  コン・・・コン・・・
  コン・・・コン・・・
  コン・・・コン・・・
  コン・・・コン・・・
  コン・・・コン・・・
  コン・・・コン・・・
  コン・・・コン・・・
  コン・・・コン・・・
  コン・・・コン・・・
  コン・・・コン・・・
  コン・・・コン・・・


   !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



私は、布団にもぐりこみ耳の穴を痛くなるまで指でふさいでいた。

その日・・・ 音は途絶えることは無かった・・・


あの事件が起きてどれぐらい経っただろうか?

モウ、覚えていない・・・

ただ、近頃はあまり聞こえなくなったような気がする。

気のせいだろうか?

どちらにせよ

今日は ゆっくり ねむれそうだ・・・


・・・


・・・・・・


・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


今日は不思議な夢を見た。

以前見た夢を同じような感覚がする。

でも、家の中じゃない。

外だ。今、俺は家の外に浮かんでる。

なんで、わかるかって?

だって、そこに俺の部屋が見えるんだもん。

右には、親父が作った小さい庭。

そして、左には家。それの左下の方 窓が見えるでしょ?

そこが俺の部屋なんだ。

それにしても今日は外が明るい。

満月なのかな?

確認したいけど、クビが回らないや・・・

少しづつ、視界が庭の方に近づいてく。

あっ、違うや。俺の部屋に近づいてるんだ。

あれ?今気づいたけど。

庭にダレカがいる。

男のヒトっぽいけど、髪が長くて下を向いてるから
よくわかんないや。

ゆっくり、ゆっくり移動していく

俺の部屋の方に・・・

ゆっくり・・・ゆっくり・・・

俺もゆっくり近づいていく。

あのヒトの方が少しスピードが速いみたい。

俺より早く部屋の前の窓に着いた。

そのヒトは、ボーっとしてる。

うつむいて、俺の部屋の窓を覗き込んでる。

なにしてるんだろう?

カーテンは閉まってるから、中は見えないし。

それに、俺はココにいるのに・・・

俺も遅れて部屋の前に着いた。

でも、止まらない。

どんどん、近づいていく。

アレに向かって。

嫌だ!とまれよ!

でも、止まらない。

自分の意思では動けない。

アレはこっちには気づいていない。

このまま気づかなかったらどうなるんだろう。

その時・・・

アレがこっちを向いた。


バッ!!!


ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・

息が荒い、すごく疲れてる。

嫌な夢だった。

怖いし、中途半端だし。

確か、そこの窓に・・・

と、窓を方を見た。

いつもなら、完全に隙間無く閉まっているはずなのに。

ほんの少し・・・

本当にほんの少しだけ隙間ができていた・・・

今、思えばなんであの時、あの夢の後で、アソコを見たんだろう。

でも、モウオソイ・・・

僕は、見てしまったから。




















































だった。

一つだけ。

左目なのか右目なのか。

そんなことはどうでもよかった。

ただ、僕はナニカと目が合ってしまった。

次の瞬間。

ガサッっという音と共に、ソレはどこかえと消えていった。

僕には、窓を開けて確認することなどできるはずも無く。

ただ、ただ呆然と涙を流していた・・・

それから、今日までノックの音が鳴ることは無かった。

アレは一体なんだったのか?

泥棒?幽霊?それとも、夢?

今となっては、知りたくもないし考えたくも無い。

だけど・・・

私は、実家に帰ると今もソノ部屋に住んでいる。

昔の忌まわしい記憶と共に・・・





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