私は綺麗なものが好きだった。
絵画、宝石、写真・・・
綺麗であれば、どんなものでも好きだった。
ある日、ふと思った。
綺麗なものを探し始めて、もう何年も経つが
探すのではなく、創ればいいのではないか?
その考えは、予想通りのものだった。
まず、自分の身の回りにあるもので作るものを探す。
それはすぐに、見つかった。
自分自身だ。
まず、自分の気に入らない部分をリストアップしていき
そこから、どんどん創っていった。
次第に、気に入らない部分がなくなり
次は、もっと便利にもっと格好よくしたい所を創っていった。
この作業が、今までしてきたどんなことよりも楽しく、優雅で、快感だった。
創る所が無くなっても、もっともっと創りたくなる衝動は止められなかった。
自分が知る限りの方法を駆使し、最高の自分を創り上げていった。
そして、ある日。
一人の少年に、アナタハダレ?
と問いただされた。
私は、この世で一番最高の人間だと答えた。
しかし、少年は納得できなかった。
なぜなら、彼にはもはや人間の部分は一欠けらも存在しておらず。
人間以外の何なのかさえ、分からない物体となっていたからだ。
しかし、彼はそれで満足だった。
この世で、私のような者はただ一人しかいない。
まさに、私は最高の自分を作り上げたのだと声高らかに笑っていた。 |
|