呼吸する家
小さい時、ずっと思っていた事があった。
夕方、部屋の中に一人。
ずっと窓を見ていた。
カーテンはまだ開いていて、レースのカーテンだけが掛かっていた。
風にゆられて、カーテンが漂う。
数秒、カーテンが風にゆれると
今度は、網戸にへばり付く。
数秒、へばり付くと
今度は、またカーテンが漂う。
それを見た小さい時の俺は。
家も呼吸をするものだと思った。
詳しく言うと、何か難しい現象の一つなのかもしれない。
だが、そんなことはあまり関係なかった。
ただ、その時は純粋に呼吸する家を楽しんでいた。