あれから、大分時間が経ったが一向にこのカッターは消える気配が無い。
これは、ヤツラが用意したものではなかったのか。
では、一体どこから現れたのだろう。

あれは、トレイの上に置いてあった。
ということは、やつらが用意したと言う事ではないのか?
だとしたら、なぜ消さない。

それとも、消せない理由があるのか。
それは何だ。
何か狙いがあるのか?
それとも、ただ消せないから消さないのかだ。

どちらにしても、コイツは俺にとって数少ない武器の一つだ。
血が付いているのがちょっと気にかかるが手元に置いておくとしよう。

とりあえず、今日は普通に過ごせる。
それがいいことなのか、悪い事なのかは分からないが。
今は、とにかく休みたかった。

壁に背を向けて腰をおろす。

とにかく一息つこう。
すべてを考えるのはそれからでも遅くない。





あのクワガタムシは何だったのだろう。
常識で考えてあんなクワガタムシが存在するなんて思えない。
それとも、ネッシーやチュパカブラみたいにUMAだとでも言うのか?
そんなはずは無いだろう。
あきらかに人工的にいじってあるはずだ。
だが、もし人工的にあのクワガタムシを作ったのだとしても

可能なのか?そんなことが?

ここに来てから様々な不思議体験をした。
だが、あのクワガタムシだけは今までの不思議体験と同じような感じはしない。
今までは、急に何かが現れたり消えたり。
まさに、不思議だと思えるような事だった。

だが、クワガタムシは最初からそこにいたし触れる事も出来た。
そして、大顎に仕込まれていたスタンガンのようなもの。
あきらかに、人工的に作られた物のような感じがした。

理屈や理論がどうなっているのかは正直わからない。
世の中にはもっと複雑で強力な兵器があるだろう。
だが、ターミネーターやプレデターのような生物兵器みたいなものが
作れるのか?
だが、俺は実際に見たし体験もした。
利用できるかどうかは、別としても恐ろしい事だ。

まるで、映画の世界だな。

さて公衆電話、クワガタムシと来て次は何が来るのか。
俺は恐怖の中に、何かわからない楽しみを見出そうとしていた。


          



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