結末は驚くほど、あっけなかった。
特別反撃を受けることなく、クワガタムシは踏み潰された。
まったく拍子抜けというか、なんというか。
とにかく、助かった。

この左腕のことを考えると、とてもプラスには考えられないが

今生きている。

たったそれだけだが、希望が見出せる。

それが俺が今生きている理由だった。


クワガタムシはまだビクビクと蠢いている。
おそらくコイツも、目を離せば次には消えているだろう。

そしてこれが残った。

一体これの役目はなんだったのだろうか?



どうやら、少しずつだが適応してきているようだな。
今までは、何も出せなかったのに今日になっていきなりカッターを出すとは。
なかなか、面白い存在だ。

腕から血を流しながらツータングはつぶやいていた。

スタンガンアントラーをあんなに簡単に倒してしまうとはな。
正直恐れ入ったよ。だが、まだまだ甘い。
素人にしちゃ上出来だがな。
あんな虫程度に一撃を喰らってるようじゃ、ヤツラには勝てない。

もっと強くなってもらうぞ。田中樹。
俺なんかよりも、もっともっと強くな。


          



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